たのしんでいる。もっぱら食慾にかゝりきって、骨をシャブッて玩味し、汁をすくって舌の上をころがし、両手から肩、胸の筋肉を総動員して没入しきっている。そして、ほとんど口数がない。
 最後に特大の重箱にウナギの蒲焼がワンサとつみ並べて現れる。酒のみがウンザリするような大串。これがゴハンのオカズであった。
「アア、これだ。待っていたよ」
 と、半平は大よろこび。三羽ガラスは蒲焼にとびかゝるようにして、飯を食うこと。
 長範親分、ことごとく勝手が違って、酒がまずいが、そこは大親分のことで、今日は商用、これが第一の眼目だ。ツキアイに軽く食事をしたためて、
「明朝八時半にここへ迎えの車をよこすから、山を見廻って、箱根で中食としようじゃないか」
「八時半じゃ、おそいな」
 天草次郎はこう呟いて腕時計を見ながら、
「ボクらはたいがい七時ごろには仕事にかかる習慣で、朝ボンヤリしているほど一日が面白くなくなることはないな。旅先では、ことにそうだね。早く目がさめるからな。六時には起きて顔を洗うから、七時半前に底倉へつくだろう。自動車はボクらのがありますよ」
「それは好都合だ。オレも朝は早い。五時には起きて、冷
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