をつめてもらってきておくれ。汽車の中で飲みながら帰るからね。それから、ツルちゃんは護身用に一しょにきておくれ。オレのカラダはかまわないけど、ライカが紛失しちゃ、それまでだからな」
 ライカが今回の主役だから、坊介は気が大きい。このときでなければ威張られないのである。半平もゼヒなくニヤリとうなずいて、
「ウン。じゃア、まア、ボクたち、一しょに帰ろうよ。ボクたちも、さっそく記事をつくらなきゃア、いけないからね。才蔵クンだけ残って、正宗クンを連れて帰っておくれよ、ね」
「おい、よせよ。オレひとり残るなんて、そんなの、ないよ」
「だって、ボクたち、記事をかいて雑誌をつくらなきゃ、いけないからさ。一足先にきて仕度してくれたキミだから、あとの始末もつけてくれるのがキミのツトメなんだよ。悪く思うなよ」
「よせやい。一人ションボリ居残って、あんなネションベンジジイを待ってる手があるもんか。そうじゃないか。ねえ、ノブちゃん」
「だって、可哀そうよ。魂をぬかれちゃって。戻ってきて、誰かいてやんなきゃ」
「だからさ。オレひとりッてのが、おかしいじゃないか」
「よせやい。テメエひとりでタクサンだい。二人ッて柄
前へ 次へ
全158ページ中50ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング