中央の座敷から起っているが、ズッと奥に離れがある。こゝぞ、神様の寝所であろうと狙いをつけた。
 忍びよると、居る、居る。神様は寝床に腹ばいになって、ゴハンをたべているのである。行儀のわるい神様だ。四十ぐらいの女神である。神様の手が、ひどく小さく、まッしろだった。
「落着け。落着け」
 彼はジッと時を忍んだ。また、奏楽が起った。その音にまぎらして、二枚、三枚。樹の上へ登って、三枚。窓まで近づいて、また、パチリ。神様は全然知らなかった。
 次に、奏楽中の神殿へ忍びよる。マン幕のスキ間から、うつしたが、どうも思うように行かない。
「エヽ、面倒な。やッちまえ」
 マン幕をすこしもたげて、首を突ッこんで、ジーとやる。
「ヤッ」
 白衣の一人が、気がついた。その時はもう後の祭。坊介は、白衣の男を見つめて、大胆不敵にニヤリと笑った。芸術家の満足感であった。彼はライカをポケットへ収めた。
「アバヨ」
 サッと身をひるがえす。写真屋ともなれば、逃げの一手は場数をふんでいるのである。ドッと追う人々は、マン幕にさえぎられて、手間どった。音をきゝつけて、飛鳥の如く身をひるがえし、靴をつかんで逃げだしたのが、ツ
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