しましょう。正確に金額の分量ずつ販売いたしますのが当店の方針でざんす」
「お堅い商法で、結構です。それでは、さっそく、本日、十万円だけ、いただきましょう。あんまり少額で失礼ですが、よろしいですね」
「それは、もう、いったんお約束の上は、万事宿命でざんして、十万円でも、本日さッそくでも、イヤとは申しません。これから出かけますと、いくらか暗くなりますが、これも宿命、ツユいといは致しません。では、さッそく出発いたすことにしましょう」
 サルトルは全然ニコヤカで、百貨店の販売員のように愛想がよいばかり。
 さッそく一同は立ち上る。ツル子は半平に向って、
「私は?」
「そうだなあ。紅一点まじる方が風流で、サルトル君も安心なさるでしょうね」
 サルトルは半平を制して、
「イヤ、イヤ。夕闇の山林中の秘密の取引に、可憐なお嬢さんをおつれ致すのは、かえって風流ではありません。お嬢さんは箱根の旅館で待っていただくことに致しましょう」
「じゃア、ツルちゃんは、ここで待ってるのがいゝや。箱根まで行くこと、あるもんか」
 才蔵が、むくれて、口を入れる。
 半平は高笑い。
「雲さんはツルちゃんのこととなるとムキに
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