のせいにすることないでしょう」
才蔵はくさりきって、シカメッツラをしている。
目的はツル子を誘って旅館へ泊るところにある。ニセモノを掘っても仕様がない。
しかしツル子と共に箱根を往復する機会は今後もありうる見込みがあるから、はやる胸をおし殺して、我慢している。
二人は天草商事へ帰って報告した。
「全然ホンモノだもの。おどろいたッたら、ありゃしねえや。一カン、七八貫、十二カン、全然純粋ときやがら。宝の山を持ちながら、奴め、処分に困っていやがるのさ」
才蔵はポケットから阿片の紙包みをだしてみせた。中味はホンモノに包みかえてきたのである。
「フウン。ホンモノか」
半平はこう唸ったが、一座はシンとしてしまった。ひらかれた紙包みの中の二グラムほどの阿片をにらんで、一同、しばし、声をのんでいる。
天草次郎はちょッと時計をのぞいたが、
「近藤ツル子、すぐ、箱根へ戻れよ。五時には、着ける。サルトルの宿へ泊って、彼を宿から動かすな。さて、それから、と」
彼は考えて、
「明日の午ごろ、小田原の例のところへサルトルを案内しろよ。そこで商談するからと云って。二時ごろまで、ひきとめといたら、いい
前へ
次へ
全158ページ中120ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング