えるのだから始末がわるい。
サルトルは感謝感激、夢|心持《ごこち》、ここで二人の心は寄りそったが、ちょうど夜が白々とあけたから、ツル子は別荘番のオバサンの部屋へ寝床をしいてもらって、ねむる。サルトルも改めて一とねむり。
目をさまして、ツル子は出社し、重役三羽烏に報告する。
「フウン、そうかい。じゃア、やっぱり、本当の話かな。だけど、どうして本当らしいと分ったの。サルトルの奴、ツルちゃんに惚れちゃったんだね。手を握ったの?」
半平は内心おだやかでないから、根ぼり葉ぼりききたゞす。
「アラ、そんなこと、なさらないわ」
「じゃア、どうしたのさ。どうかしなければ、判断のしようがないもの、そこをハッキリ云って下さいよ。ねえ、ツルちゃん」
「どんなことって、言葉だけではハッキリわかるはずありませんわ。でも、私には埋めた阿片見せて下さるって仰有ったわ。私、箱根へ行って、見てきます」
「なるほど。しかしツルちゃん、あなた阿片見たことあるの」
「いゝえ」
「それじゃア、なんにもならないや。誰か阿片の識別できる人を連れてくように頼んでくれなくちゃア」
「あからさまに、そうは言えないわ。サルトルさんは
前へ
次へ
全158ページ中104ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング