もガッチリ無類で、思うようにモウケさせてはいたゞけません」
「私がお役に立ってあげたら、あなたのところで私を使って下さる?」
「アタクシのところと申しましても、アタクシはシガないヤミ屋で」
「阿片を売って二千万もうかれば立派な会社がつくれるではありませんか」
「まさにその時こそはアタクシも一国一城のアルジですな。おっしゃるまでもなく、その時こそはサルトル商会の一つや二つひらきたいものです」
「すごいわね。私がお手伝いしてさしあげれば成功するかも知れないのよ。いゝえ、きっと成功するわ。ですから、サルトルさん、私を重役にしてちょうだいな。資本金二千万円か。財閥というワケにはいかないわね。でも重役なら悪くないな。平社員じゃイヤよ。私の力でかならず成功させてあげますから」
「これは有りがたきシアワセです。それはもう一国一城のアルジとなりました上は、重役はおろか、わが社の女神としておむかえし、犬馬の労をつくさせていたゞきます」
「あなたは冗談なのね。笑ってらっしゃるわね。どうしてマジメにきいて下さらないのよ。私、シンケンなんです。天草商事なんて、大キライ。こんなところに働くのはイヤなんです。私の
前へ 次へ
全158ページ中101ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング