ょッとした閑静な小庭があって、妾宅か、隠居家のような構えだ。
 これを長平の住居と見てとったから、しばらくたって放二と記代子が立ち帰るのには目もくれず、やりすごして、門をくぐった。
「大庭長平先生にお目にかかりたいのですが」
 と当てずッぽうに言ってみると、
「大庭さんは茶室におすまいですよ。庭から廻って下さい」
 やっぱり、そうだ。青木はホッと、目がくらんだが、こうまでして、なんのための努力だか、わけが分らない。長平が金を貸してくれるとは思っていないのだ。ただ、意地だ。なんの意地だか、それも分らない。長平は自分にからかわれていると思うかも知れないが、オレがオレをからかっているだけなのさ。待望の隠れ家をつきとめて、こみあげてくるのは絶望だけである。
 しかし、青木は威勢よく庭をまわって、わざと窓から首を突ッこんで、
「ヤ。いる、いる。こんちは。長平さん」
「ヤ。君か」
「不意打ち、御容赦。天をかけ、地をくぐり、習い覚えた忍術が種切れになるところで、ようやく、つきとめました、ハイ」
「ま、あがりたまえ」
「なんでもないような顔をして、こまった人だね。歓迎はしていないかも知れないが、イマイ
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