や、何物ですかい。ただ、死にゃア、まだ、わかるよ。兄さんが死んだから、生きていてもツマラないッて? しかし、毎日々々が幸福で、たのしく、不平を忘れていられましたとネ。甘えてやがら。元々、自殺ぐらい甘ッたるいことはないがさ。あたりまえだ。一番人生の甘えん坊が、自殺するのさ。だから、彼女が妙テコレンな夢をえがいて、それに甘えて死ぬことはまた可なりかも知れないが、甘え方が気に食わないんだよ。ねえ、長さん。パンパンが、精神的な愛情なんて、笑わせやがるよ。それはね、パンパンが精神的な何かにすがるのは当然あって然るべきかも知れないが、こと恋愛的な雰囲気に於て、精神的とは笑わせらアね。人をバカにしてるじゃないか。ぼくはパンパンを軽蔑してやしませんよ。むしろ、尊敬してるんだ。パンパンたる者は、精神的などゝいう怪しげなものを、ハッキリ土足にかけてくれなきゃア、こまるじゃないか。彼女はぼくを、泣き男だと云いましたよ。それでこそパンパンなんだ。パンパンでなくちゃア至り得ざる境地によって、泣き男を土足にかけてくれなくちゃア、ダメじゃないか。甘ッチョイ死に方なんぞしやがって、ざまアねえや」
青木は押入からルミ
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