あなたは、あなた自身の責任を感じ、あわせて、彼女を無事保管の任を完《まっと》うせるぼくに向って感謝の意を表して然るべきではないですか。あなたの態度は常にあなた自身の感情に即してはいるが、物の当然しかるべき理に即してはいませんな。けだし、記代子嬢があなたの邸宅を逃げだしたのも、直接の原因は、そのへんにありと見たのはヒガメですか。どうもね、とかく御婦人は暖冷ただならぬものではあるが、あなたは格別だね。その冷たるや、冷血動物以下、ぼくがツラツラ案ずるに、大そう水ムシによく似ているです。足にできる水ムシのことですよ。あいつは痛くもカユくもないが、実に無残に肉にくいこみ、一生涯、なんとしても治らんです。実に、一生涯ですよ。死ぬまでですよ。死んでからでも、足の指のマタにハッキリくいこんでまだ生きているのですよ。見たわけじゃアないがね。そうに、きまッてらア。実に、人生に最も酷薄なるものは、水ムシの如くに、痛くもカユくもないです。そして生涯、死んでからでも、肉にくいこんで、かみついているです。けだし、あなたは、水ムシだね。実に酷薄ムザンだね。小娘はジタバタするのが当然さ。痛くもカユくもないという生涯ム
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