ますよ。決して下僕以上の位をのぞみやしません。ですから、あなたが予定していらッしゃること、あるいは、まだ思案がきまらないようなことでも、みんな打ちあけて下さいませんか。むろん下僕ですから、御相談のない限り、こうなさい、ああなさい、などと差出口はいたしません。ただ御言い付けに従うだけです。ですが、下僕といえども味方の一人ですから、たった一人の味方として、予定の内容をもらしていただきたいというわけです」
「あなたの前夫人に会いたいの。ここへ来ていただいてもいいわ」
「え? 礼子ですか」
「礼子さんとおッしゃい。もうあなたの奥さんじゃないでしょう」
「すみません。ですが、こまったなあ。礼子さんの住所を知りませんのでね。夕方、仕事場へでてからじゃア、おそいでしょうな」
「バーできいてごらんなさい」
「なるほど。ですが、銀座のバーというものは、たいがい留守番の住む場所もないのが普通なんですよ。礼子さんのバーは、特に地下室のウナギの寝床のようなところで、便所以外に付属室はないだろうと思いますね」
「行って、たしかめてみてからになさい」
 記代子はいらだって叫んだが、彼女の顔には、地下室ゆえに泊り部
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