の気持が改まっているのを羞じて、笑いだした。
「こんな話、よしましょう。面白い話、教えて。女の社長さんて、どんなお仕事なさるんですか。お仕事の話、きかせて。私もパンパンの話、きかせてあげるわ。私は商売の話、すきなんです。それしか知らないのですもの」
八
せつ子はいつまでもルミ子を相手にしていなかった。
「食事はどうしてらッしゃるの?」
長平にきいた。ルミ子の部屋には、炊事道具も、食器らしいものもなかった。コップと、小さなヤカンがあるだけであった。
「なんでも出前をするようになったからね」
長平は不自由を感じていない様子である。
せつ子は、食って生きれば足りる、という生活態度には賛成できなかった。それではミもフタもないし、生きるハリアイもない。
ルミ子の心の安定などというものも、同じように乞食の心境にすぎないのである。生れたまま、手数をかけずに、ほッたらかしておけば、元々、人間はそれだけのものだ。それだけではミもフタもないから、いろいろの手間をかけ、ムダをする。人生は実用の如くであるが、ムダをたのしむことでもある。人為的なタノシミを発見すること。歴史の跡にしる
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