った。こッちがインネンをつけられることになるとは思わなかったね。上京して一週間にもなるんだから、一度ぐらいは見舞ってやりなさいよ」
「そういうもんかね。上京と云ったって、こゝと病院には距離があるよ。京都から病院までの距離と、こゝから病院までの距離と、距離があるということじゃア、おんなじことじゃないのか。記代子の病室へ行く必要があれば、京都からでかけるさ。上京したから、ついでに用のないところへ行く必要があると、君は考えているのかね」
「益々おそれいりましたね。人生には、ツイデ、ということが、ないんですかい」
 ルミ子が屈託なく笑って、
「ツイデ、ッてことは、たのしいわね」
「ホレ、ごらん。この可愛いいお嬢さんが、証明してくれましたよ。ねえ、可愛いらしいお嬢さん。しかし、ツイデは、たのしいかねえ」
「用たしに行くでしょう。ツイデに、このへん、ぶらついてみましょうと思うわね。たのしいわ」
「ずいぶんジミなお嬢さんだね。そんなのが、たのしいかねえ。ほんとに」
「先生は、腰をあげるのがオックウなんでしょう。私は、そう。腰をあげなきゃならないと思うと、たいがいのことは、その値打も魅力もないように見
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