いと思うんです。あんなに変に悲しい童話、助からないんです」
三
「お父さんやお母さんは、いるのかい?」
「ええ。それでパンパンは、おかしい?」
ルミ子は笑った。いつもながら、あどけない笑顔である。そのせいで、ルミ子の部屋はいつも、明るい。長平は疲れた手を休めて、ルミ子と話を交すのがたのしかった。
「生れた家へ帰りたいと思わないかね」
「思いだすことはあるけど、帰りたいとは思わないわね」
「病気になったり、苦しいことがあってもか?」
「ええ。生れた家は、もう無いことにきめたの。私はね。街の女。街の子よ。今日があるだけよ。昨日も、明日もないわ。今のことしか考えない」
「ホウ。立派な覚悟だ」
「先生は?」
「そう見事には、いかないな。昨日のことも、明日のことも、考えるよ」
「私も、そうよ。でも、それじゃアこまるのよ。パンパンには、ね。昨日も、明日も、あると、こまる」
「なるほど」
「私だって、パンパンでなければ、昨日も明日もある方が都合がいいだろうと思うわ。その方が、自然だものね」
「そうかねえ。今のほかに、昨日も、明日もある方が、自然というものかねえ」
「冷やかしちゃア
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