て、智恵をかりようなどゝは考えていなかった。放二のようなお人好しに、まともに相談しかけても、埒があくものではない。こういう人間には、ただ、命令するのが何よりなのだ。
「ずいぶん苦心したでしょう。でも、あなただから、捜しだせたのです。青木さんをごらんなさい。煩悶の様子は深刻そのものですけど、埒があかないじゃありませんか。ずいぶん疲れてらッしゃるようね。しばらく涼しい土地へ行って、ゆっくり休養してらッしゃい。十日でも、二週間でも、もっと長くてもかまいません。その間に、記代子さんのことは、ハッキリ話をつけておきます」
こう云って、せつ子は放二に多額の賞与を与えた。
「話をつけるッて、どんなふうに、でしょうか」
「それはあなたに用のないことです。あとは私が致します。秋口に、あなたが涼しい土地から戻ってきたとき、記代子さんも戻ってきています。ですが、記代子さんは、先からズッとそこにいたのですよ。あなたが、涼しい土地へ旅行していたので、しばらく会えなかっただけなのです」
放二は考えた。せつ子は行動的である。ためらわないのだ。言った言葉は必ず実現するだろう。たとえ、街のボスが相手でも。
せつ子
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