まった人間だけが、ヨタモノ稼業がつとまるのである。
 彼女は記代子をとりもどすことにきめていたが、円満に返してもらうことも、金を払ってとりもどすことも考えなかった。金というものは、ヨタモノや乞食やパンパンなどに呉れてやる性質のものではない。どんなバカげた浪費をしてもかまわないが、それは仕事に関聯しての話である。
 エンゼルから記代子を奪い返すだけのことだ。そういう権利があるからである。理窟はどうでもかまわないのだ。ヨタモノを相手に論争するバカはないのだ。記代子がエンゼルにほれていようが、よしんば、正式に結婚の手続をしていようが、そんなことも問題ではない。
 理論的にはエンゼルに勝身があっても、ヨタモノには、良家の娘を女房にする権利などはないのである。それがせつ子の考えであった。社会秩序に反し、不正を稼業としている人間が、たまたま一事に関して正当な理論をふりまわし、権利を要求しようたって、そんな虫のいいことがとおるものではない。
 しかし、警察の力をかりず、法律の名をかりず、極秘裡に記代子をとりもどすには、どういう手段があるだろうか、と、せつ子もこれには考えこんだ。
 彼女は放二と相談し
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