、青木の言葉が真実かどうか、それを見分けるためだけである。
「三日間、どこにいたのですか」
「第一日目は東京に、二日目と三日目は熱海に。そして三日目の夜、つまり昨夜ね。哀れにも悄然と東京へ戻ってきましたよ」
「誰と、ですか」
「二人です。ぼくの影と。ねえ、あなた。影は悲しく生きていますよ。広島のなんとか銀行の石段をごらんなさい。あれは誰の影でもない私の影ですよ。あらゆる悲しい人間の影なんだな。ぼくは原子バクダンを祝福するですよ。なぜなら、も一人の自分を見ることができたから。悲しめる人は、広島で、ありのままの自分を見ることができるですよ。ロダンだって、あんな切ない像を創りやしなかった……」
「熱海の旅館は?」
「実に、見事ですよ、あなたは」
と、青木はくさりきって、
「そんなことまで一々きく品性もあれば、答える必要をもたない品性もあるですよ。ねえ、あなた。あなたという人は、女ながらも、仕事師としては偉い人です。しかし、あなたの品性は、失礼ながら、戦国時代ですな。人をギロチンにかけるか、あなたがギロチンにかかるか、たぶん、二つながら、あなたのものだ」
話の途中に、せつ子はベルをおして、
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