「今でてらッしゃるホール、わからないでしょうか」
「ええ。それなんですけど」
女の子は分別くさげに目をふせながら、
「それをききだすのに時間くッちゃッたんですけど」
女は又、口をつぐんだ。それから、
「よした方がいいですわ」
と、言った。
「どうしてですか」
女はわざと困った顔をして、
「だってねえ。よくないことなの。きかない方がいいわ」
「ぼく、御迷惑はおかけしないと思いますが」
女の子は思いきった顔をした。
「キッピイには悪いヒモがあるんですッて。グレン隊の中でも特別のダニ。とても悪性よ。ノサれちゃうわ」
放二は笑って、
「ノサれるような用件ではないのです。あの方のお友だちの住所をきくだけですから」
女の子は喫茶店の名と図をかいて、投げだすように放二にわたした。
七
放二は地図をたよりに喫茶店をつきとめた。同じような店が露路の両側にならんでいて、まよいこんだ放二を見ると、どの店からも女がでてきて、よびとめたり、手を握って引きこもうとした。
めざす喫茶店で、よびとめた女に、放二はきいた。
「お店に、木田敏子さんという方、働いていらッしゃいますか」
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