い。ないわけだ。全部、白紙であった。元旦すらも。

       三

 しばらく笑いがとまらなかった。放二は再び日記帳を本棚へ押しこんで、ヒタイやクビ筋の脂汗をふいた。
「これで一応さがしたわけだが」
 ほかに捜す場所はなさそうだ。手紙の束をしまうついでにヒキダシをかきまわしてみると、ガラクタにまじってマッチ箱がタクサンあった。
「タバコを吸うのかしら?」
 ふだん吸ってるのを見たことはない。しかし机の上に小さなピンク色の灰皿があった。マッチ箱は軸がつまっていて、ほとんど新品だ。三ツ四ツ例外はあるが、大部分が同じ店のマッチであった。
「ノクタンビュール」
 たしか青木前夫人の働いているバーである。店の名だけはきいていたが、彼はそこへ行ったことがなかった。あんまり数が多すぎるのでザッと数えると、二十いくつあった。いつも青木と一しょだから、その店へ行くことがあるのにフシギはない。しかし、ずいぶん通ったものだ。それとも、まとめて貰ってきたのだろうか。放二はマッチ箱を手にとってボンヤリ見つめて考えた。しかし、思いつくことは何もない。
「とにかく、マッチ箱の店へ行った事実はあるのだから」
 と
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