こんなことで、怒ったり、怒られたり、よそうじゃないか。毎日、ノンビリ、コーヒーやビールや焼酎でものんで、バカ話をし合って、たのしく過そうじゃないか。そうするうちに、二人の心が通じ合うようになると思うんだがね」
 肩を並べて歩きながら、青木は懇願した。つとめて情慾を殺すには、そんな態度をとる以外に仕方がないのだ。そのくせ、立ち去る記代子を立ち去るままに放っておくことができないのは、可憐な記代子に断ちがたいミレンのあるせいだ。
 相剋する二つの心を、興ざめた目で見送る以外に手もない。
「なア。よく考えてくれよ。ぼくは叔父さんの友だちなんだぜ。叔父さんというものは、あんたのオヤジの兄弟じゃないか。オヤジだの、オヤジの兄弟なんてものは、あなたの友だちと違わアね。ぼくだって、そうなんだ。ぼくは、あなたにとって、甚だ親切な友だちさ。あなたのオヤジや、オヤジの兄弟のようにね。しかし、本当の友だちというものは、こんなに親切ではないものなんだ。たとえば、若い者同志はね。ここのところをカン違いしちゃいけないよ」
「喋るの、よして! こんど喋ったら、駈けだしちゃう」
「こまったな。ちょッとぐらい、喋らなきゃ
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