北の山奥の住人で、二十前後、どうも十八ぐらいの年齢じゃないかと思われる。
フトンの上に女の一人も寝ころばしておけばマア満点だというところなど、アッパレな着眼で、山奥の小僧とは思われぬ小憎らしいところがあるが、先日、浅草でドサ廻りの役者からきいた話でも、目下田舎へ行くほど新風が流行しているということで、東京のアベックはテレくさそうに腕を組んで歩いているが、田舎のアンチャンはケタちがいに新風だということだ。芝居の客席を暗くして、芝居の見物よりも、御自分の演技の方にいそがしい、そういう新風が流行しているそうだから、この山奥の小僧の着眼は、私の目には新風だが、山奥では当りまえなのかも知れない。然し、そんな山奥まで、この写真が物議をかもしているようでは、私もいさゝかてれざるを得ない。
底本:「坂口安吾全集 06」筑摩書房
1998(平成10)年7月20日初版第1刷発行
底本の親本:「マダム 創刊号」マダム出版社
1948(昭和23)年2月1日発行
初出:「マダム 創刊号」マダム出版社
1948(昭和23)年2月1日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:小林繁雄
2007年2月22日作成
青空文庫作成ファイル:
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