て序論八ノ系により意識内容も意識より独立に存す)
十、意識は意識の対象となることを得ず。
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〔説明〕もし意識が意識対象となることを得るならば、(九)により意識は意識より独立に存す。もし意識が意識より独立に存せば、(二)の「意識なきときには意識なし」は成立せず、明に意識なき時に於ても意識あるべし、これ不合理である。
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 系 意識は意識さるゝことを得ず。
十一、意識さるゝことを得ざる意識とは「意識の力」である。
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〔説明〕意識は意識さるゝことを得ず(十ノ系)。結局意識とは「意識するのみ」にして「意識さるゝを得ざるもの」である。然るに人は意識す(一)。而して意識の全体は「意識する力」と「意識の対象」と「意識内容」とより成る(六)。而して「意識の対象」と「意識内容」は意識より独立に存し(九)、意識さるゝものである(七、八)。故に「意識するのみ」の力とは「意識する力」である。
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     本論


   一、「意識する力」と現在

 力に過去はない。何者《なんとなれば》、力の働くところは現在のみである
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