安吾人生案内
その五 衆生開眼
坂口安吾
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)仰有《おっしゃ》る
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三千|米《メートル》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#丸1、1−13−1]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)もろ/\
−−
悪人ジャーナリズムの話
[#地から3字上げ]平林たい子
[#ここから1字下げ]
おどろいた。胸を打たれてまとまった感想も浮かんで来ない。かぞえてみると私達は廿五、六年来の友人だが、めったにあわなかった。最近、婦人公論の集りで久しぶりに一緒になり、興奮して大いに語った。彼女は心臓の不安を訴えた。フランスにも行きたいが、この体では行かれないと言った。それから私に、フランスへ一緒に行こうとしきりにさそった。私は仕事のむりをやめることを忠告したが、よほどの生理的脅迫のない限り、この忠告がきかれないことは知っていた。
よく言われ
次へ
全46ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング