めではなく、お金に困らない場合に、女房を働かすべきです。自分の仕事の助手とか、共同の仕事とか、そういうことで奥さんに手腕をふるってもらうのは却って家庭平和のモトをなすかも知れません。女房が家庭生活一方というのは、そういう家庭的な性格の奥さんならよろしいが、社交家で家庭外の方向に手腕もあるし、家庭生活だけではなんとなく物足りないという性格の奥さんには、はじめからそういう手腕を外部的にふるってもらって、それで浮くお金で女房の家庭労働を省くようにするのですな。二人で外で食事するようにしてもよろしいし、手数の省ける家庭用の文明器具をとりそろえるように心がけてもよろしいでしょう。そのような明るく便利な家庭を建設するような考えがあって、奥さんもともに働くというようなことは、よろしいな。お金持であればあるほど、むしろ奥さんは働く方がよろしかろう。
 生活が苦しい時に奥さんを働かすことは絶対にやってはダメです。苦しい時に働いて助けてくれないようなそんな女房はひどく不自由で、実に女房なんて物の役に立たなくてバカバカしいものじゃないか。実際バカバカしいものなんですよ。つまり困った時に役に立つというような飼
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