きとります。
中山しづ(当時二十九歳)の供述
見合いの時、同じ商売だったので、相手は何もないけれど、結婚しようと思いました。
挙式当日、羽山の義兄の家へ行ったところ、先方は少し酔っていて、
「男のバカと女の利巧はちょうど同じだ、生活力では男にはかなわないのだから、夫を大事にしろ」「亭主の好きな赤烏帽子《あかえぼし》という意味を知っているか」などといわれ、あんな風に私が侮辱されても、羽山は何ともいってくれないのかとさびしく思いました。
結婚の最初の日は夫婦の交りをしました。二日目は一緒にねましたが、体の具合が悪かったので夫婦の交りは断りました。出血がひどく、はじめは夫婦の交りのためであると思っていましたが、それが五日ばかりつゞきましたので、月のものだとわかりました。私はそれまで男の人と交りをしたことはありません。私が別室にねたのは五日目位かと思いますが、それは羽山が下痢をしていたからです。(中略)仲人の新堀の奥さんがきて「羽山を好きかどうかそれだけ聞かしてくれ」といわれた時、私はこんな状態では愛情がもてないといゝました。羽山と話をもどすことは全然、考えていません。
判決
「
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