も前からおかしいと思っていたが、もう奴は共産党に間違いない、あんな奴は村から追出せ”と言う非難がごう/\、そして毎晩の様に遊びに来ていた青年や、中、高校生達を、“あんな奴の処へ遊びに行くと赤く染まるから行くな”と停め、会社にまで転勤を要請して来たから驚くじゃあ有りませんか、(申遅れましたが私は共産党は好きではなく、真の思想的の自由主義者であり度いと願っています。)こんな非難は私は馬鹿らしくて相手にできませんし、会社も労組も私と言う人間を知っているので、時がこんな下らんうわさは解決するだろうと、無視して呑気に構えていたのですが、田舎の人のしつこさは予想外でしてね、私を落し入れる好機をねらっていたのです、そして電産のレッド・パージの時にはこの時こそと策動したのですが、勿論これも駄目、そして私の多血症をねらってか、或る日、“明日県道修理の義務人夫に出ろ、出られなければ皆にお茶菓子代を買え”と言って来たのです。この様なことは私がこの土地に来るまでは毎月一回位あったのですが、私が青年団をバックとして、運動し昨年より廃止していましたので、村の大ボスと大口論になり、相手よりケられたのでカッとなり二つ
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