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第一話 オカマ殺しの少年の話 佐藤幸三(十六歳)
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ぼくはあの男を殺しました。ひどい奴です。女だと、すっかりぼくをだましたのです。初めから、一寸《ちょっと》おかしいとは思ったけど、ぼくも上ついて、落ちついて、確かめられなかったのが悪かった。
アパートへ連れ込まれてからも、セビロが吊ってあったり、どうも様子が怪しかったのに、一しょにフトンの中へ入ってもまだ気がつかなかったぼくもバカだったと思います。だから、男だとはっきりわかった時は、カッとなってしまいました。ナメられてたまるか、ぼくから千円もとっているのです。
しかし、はっきり殺そうとは考えていなかったと思います。便所へ行くふりをして、廊下でジャックナイフを開いた時も、たゞ夢中でした。いきなり、あいつを突刺すと、ブスッと手ごたえがあって、へんてこな大声でわめいて倒れたので、部屋にあった上衣やズボンを抱えて、窓から逃げ出しました。逃げながらズボンを間違えているのに気がつきました。
しかし、走っているうちに、ズボンのポケットに、ぼくの名前を彫ったメダルが入っていたのを思い出して、ハ
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