ろシッカリと、自分というものを持ちはじめているのではないかな。これは私の空想だが、小学校へ参観に行ってみると、精神的にテンヤワンヤなのは先生方で、子供の方が大地をシッカとふみしめてガサツではあるが老成しているような珍事を見るのではないかと、ひそかに心細い思いをしているのである。
 しかし、空想や、結論を急いだりは、つつしまなければいけない。いずれ閑々にゆっくりと子供の世界を見物して、御披露したいと思っているが、調査に大足労を要するから、いつのことだか分らない。そのうちにアプレゲールなどという言葉も忘れ去られて、巷談にとりあげる意味も失せてしまうかも知れぬが、それはそれで結構、特に間に合わせようというコンタンはない。
 私の巷談なるものは、世間にはこんなこともある、こんな見方もあるということを、お慰みまでに申上げているにすぎないのだが、時に読者から、おほめの書信などいただいて身にあまることでした。一々御返事も差上げませんでしたが、巷談師は一そう責任を感じております。巷談は私のオモチャですから、折にふれ機にのぞんで一生やめないつもりですが、まず連載はこれをもって終ることと致します。長々御退
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