のことだから、跳び方なども単純で、特に規則など有るはずがないと思うのが人情だが、実は、特別の定めがある。足が、他の身体の部分よりも先に(イヤ、頭よりも先に、かな?)バーを越さなければならない、と定めてある。日本人はマサカと思うかも知れないが、外国人は何を編みだすか分らない。この規則がないと、トンボ返り式に、頭から命がけの跳び方をやらかす仁が現れないとは限らない。現に近年はロールオーバーという跳び方がアメリカで発明された。この跳び方はバーと平行に身体をねせて空中に一回転するもので、頭が先にかかっているか、足が先にかかっているか、まったく見当がつかない。規則スレスレのところで曲芸をやっている。
 ロールオーバーにしても、クロール、バタフライにしても、スポーツの技術面に独創的な新風をおこしたということは、日本には一度も例がないようだ。
 私が中学の一年か二年のとき、アントワープのオリムピックに日本から水泳が初参加した。内田正練、斎藤兼吉という二人の選手である。
 斎藤兼吉という人は佐渡出身の高師の学生で、私のいた新潟中学へ毎年コーチにきてくれた人である。彼は陸上競技も当時日本の第一人者で、オ
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