った。
 アロハは突如として消え去《う》せてしまったが、世を忍び、地下へくぐったにすぎない。美神アロハは生きている。否、生きているどころか、指令を発し、現に美のもろもろはアロハの大きな手におさえられているのである。惑星アロハをめぐる小遊星のタップダンス程度なのが今の世の流行であり芸術だ。それぐらいアロハは大きい。
 フジタが河童アタマでモンマルトルの奇襲作戦に成功をおさめても、モンマルトルが河童アタマになったわけではないのである。わずかに東京の大辻司郎の頭がそうなったにすぎないほど感化力は弱小であった。フジタほどの芸術家が日夜に想をねり、たくみにたくんで編みだした創作も、ただ彼自身のポートレートをかざるだけのものにすぎない。だから、芸術家の如きはダメだ。彼らの傑作もたかが小遊星である。流星ですらない。アロハは恒星であるぞ。
 美神アロハの登場は現世を暴力によって一撃した。それをきたアンチャンの腕ッ節のせいではなくて、着想の革命的な新風によってだ。美神アロハの創世記。そして爾後の芸術は、新恒星をめぐって歩きだす。仕方がない。アロハは地下へくぐったが、決して死なないのである。
 諸君は敵を
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