安吾巷談
ストリップ罵倒
坂口安吾
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)無様《ぶざま》な
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)名|女形《おやま》と
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)キャア/\
−−
私はストリップを見たのは今度がはじめてだ。ずいぶん手おくれであるが、今まで見る気持がうごかなかったから仕方がない。
悪日であった。翌日の新聞の報ずるところによると、本年最高、三十度という。むしあつい曇天なのだ。汗にまみれてハダカの女の子を睨んでいるのはつらい。しかし、先方も商売。又、私も商売。
日劇小劇場、新宿セントラル、浅草小劇場と三つ見てまわって、一番驚いたのは何かというと、どの小屋も女のお客さんが御一方もいらッしゃらんということであった。完全にいなかった。一人も。
裸体画というものがあって、女の裸体は美の普遍的な対象だと思いこんでいたせいで、ストリップに女のお客さんもたくさん居るだろうと軽く考えていたのがカンちがいというわけだ。
エカキさん方がすばらしいモデル女だというオッパイ小僧もセント
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