でいる唯一の人種であった。彼女らのある三人は、小さな包みを一つずつ持ち(それが全部の財産だったろう)来ノ宮の駅で、包みを空中へ投げながら、
「さらば熱海! 熱海よサラバ!」
火に向って叫んで笑いたてていたのである。
彼女らにとっては天下いたるところ青山ありである。火事場を逃げたその足で、伊東のパンパン街へ移住したのもタクサンいた。
約半数が他へ移住し、半数が焼跡に残り、焼けない家にネグラをつくって、街頭へ進出して商売をはじめた。これが熱海の新風景となって人気をよび、熱海人士に、市の復興は糸川からと悟らせ、肩を入れて糸川復興に援助を与えはじめたから、伊東その他へ移住した女たちも、みんな熱海へ戻り、熱海の女でない者まで熱海へ走るという盛況に至ったのである。
もっとも、糸川町はまだ五軒ぐらいしかできていない。多くの女は他にネグラをつくって、街頭で客をひいているのだ。
私は土地の人の案内で、糸川のパンパン街へ遊びにいった。私はそこで非常に親切なパンパンにめぐりあったのである。彼女は私をさそって、熱海の街をグルグルと案内してくれたのである。焼跡のパンパンの生態を私に教えてくれるためであ
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