日も伊東のPTAの人が私に嘆いて曰く、
「伊東に温泉博物館と図書館をつくるという案があるのですが、そういった文化施設には殆ど金をかけてくれないのですな」
これも妙な嘆きである。温泉へくる客はバカのようにノンビリと日頃の疲れを忘れようというわけで、勉強にくるわけではないから、博物館や図書館などに金を投ずるよりも、気持よく遊楽気分にひたらせる設備が大切なのだ。本を読むために温泉へ行く人もあろうが、読書家を満足させる本は図書館にはない種類のもので当人の書斎から持ってくる性質のものだ。
文化ということは温泉に博物館や図書館をつくるということではなくて、温泉は遊びにくるところだから、気分のよい遊び場としての設備をととのえるべきで、博物館や図書館などは無用の長物だということなどを知ることにあるのである。物に即してそれぞれの独自の設備が必要なのだ。
これにくらべると、熱海が自分の中心としてパンパン街をハッキリ認識したことは、正当な着眼だ。中心街の雑音がうるさかったり、風教上よろしくないと思う方が郊外へ退避すればよろしく、それが温泉都市の健全な在り方というものだ。
現に私は静かな部屋で仕事をし
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