しくなったので、中穴狙いに転向したら、トタンに二万何千円かの大穴がでて、バカをみた。それ以後は益々クサッて、スッテンテンになった次第であったが、その大穴が当っても、要するに元々で、モウケはなかったのである。
大穴狙いのモウカル方法としては、はじめの第三レースぐらいまでに大穴がでて、そこで中止して帰ってくればモウカル。確実なるはそれだけだが、ともかく、競輪をやって損をしない方法としては、本命だけ買うか、全部買うか、どちらかで、しかし、どちらにも絶対という確実性はない。
よく人々は云う。本命を復で買っている限り絶対に確実だ、と。だが、これとても、決して、そうは参らない。本命の複は、配当が元の百円か、よくて百十円ぐらいのものだ。したがって、十レースに一回外れても、九回のモウケをフイにするわけで、この原則は、券を何十枚買ったところで、変りがないのである。そして本命が負ける率は十レースのうちに一回以上多いのが通例である。
そこで、合計して一日に三万円以上の穴がでる限りは、穴狙いの方がむしろ確実ということになる。十八万円、十五万円と大穴がでてくれれば、三日目に一度でても大モウケということにな
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