、事実、その通りであったが、これも売り上げの数字表を見ると化けの皮があらわれ、大番狂わせのレースは午後も行われているのだが、一度大穴がでると、みんな穴を狙いだし、又、午後になると自然焦って、多くの人が穴を狙いだすので、どんなボロ券にも相当数の買い手がついて、大番狂わせの配当率がグッと下っているだけのことだ。
だから、穴狙いをやるのだったら、レースを見るよりも、車券の売り上げの数字表を見ることだ。総売り上げと、一番買い手の少い券の数を見て、配当を計算すれば、その日、大穴がでるか、出ないか、すぐ分る。大穴はレースの番狂わせによるのでなくて、車券の売り上げ数によるということを心得ていればよいのである。
そこで売り上げの数字を見れば、その競輪に何人ぐらいの穴狙いがモグリこんでいるか分るし、どんな番狂わせがでても、三千円、五千円ぐらいにしかならない、ということや、あるいは二万、三万になりうる、ということが分ってくる。その計算の結果にしたがい、二万、三万の穴のでる見込みがあったら、穴専門に狙う方が確実にもうかる。なぜなら、番狂わせは、必ずといっていいほど、あるのだから、である。
けれども、穴
前へ
次へ
全25ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング