いることは争えない。
それは軍部が言論同様、芸術にも統制を加えて、彼らに理解しうる限度をもって文化の水準とし、彼らに理解し得ない高さのものを欧米的だとしたことゝ全く同一である。
野坂中尉は一月二十五日の質問演説に於て、自衛権の裏に軍事協定があること、外国資本による日本経済の買辨化を暴露して出たが、コミンフォルムの野坂批判によって示されたその歴史の大きさを見れば、共産党が日本の政権を握った場合に生じるものが、吉田内閣に於ける軍事協定や買辨化の比ではないことが分る。
なぜなら、日本共産党はコミンフォルムの完全なカイライ、手先にすぎないからで、その圧力を拒否する場合に起るものは、武力侵略であり、いずれにせよ、コミンフォルムの意のままに自己批判[#「自己批判」に傍点]せざるを得ない宿命にあるからである。
日本の軍部のように、八紘一宇と国民儀礼のような神話時代の文化しか持ち合せがなく、自分の貧乏やマイナスを占領地帯へ分ち与えるようなヤリ方では、占領された人たちが大迷惑であるが、ソビエトの場合が、又、そうである。
ともかく欧米諸国に於ては、植民地を独立させる方向へ傾きつつある。彼らにとっ
前へ
次へ
全24ページ中16ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング