活が、共産部落的であるのは、日本では普通の例である。島の村長《スグリ》は昔から選挙の習慣があったそうだし、網は共有であって特定の網元はなく、土地も共有であったという。もっともそれは維新までの話である。大島に伊豆半島の言葉がまじっているのは、近いのだから当然だが、志摩に似たところもあるようだ。そうかと思うと、海で働くのは男で、女は畑が専門だ。けっして海の仕事をやらないところはアマで名高い志摩の男女の生態とは全く相いれない。
私はむしろ風俗の主流をなしているものは沖縄に似た部分が他の類似よりも多いのじゃないかと思ったが、これとても比較的なものにすぎないし、私は沖縄の古い風俗には知識が殆どないのだから、私の推量も当にならない。アンコ風俗を白井氏は京風の転化という説明であるが、そうこじつけるよりも自然の類似を沖縄に見出す方が面倒がいらないね。私はそのうち沖縄の女の子をつれて大島へ遊びに行ってみようかと思っている。彼女らがアンコ風俗のどんなところに自分の類似を見出すか、ちょッと興味があるように思うね。
しかし、むろん沖縄と大島にはかなりの類似があるらしいというだけで、大島島民の主流が沖縄だと
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