安吾の新日本地理
飛鳥の幻――吉野・大和の巻――
坂口安吾
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)大神《みわ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)四百五十|米《メートル》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「にんべん+(八がしら/月)」、第3水準1−14−20]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)チョロ/\
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海を見たことがないという山奥の子供でも汽車や自動車は見なれているという文化交通時代であるが、紀伊半島を一周する汽車線はいまだに完成していない。また、紀州の南端から大台ヶ原を通って吉野へ現れるには、どうしても数日テクる以外に手がないのである。吉野の入口から自動車にのると上の千本までしか登れない。奥の千本へ行くにもテクらなければダメなんだから、大峰山や大台ヶ原は今もって鏡花先生の高野聖時代さ。交通文明というものに完璧に見すてられている山また山の難路なのである。ところが昔の神々は目のつ
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