在しているよ。宝塚山中で共産党の幹部と会見したという記事をデッチあげた朝日の記者にしても、東京にいて考えると記者の心理分析だのそこまで追いつめられた事情などゝ理窟ッぽく推理を働かせる必要にせまられるが、大阪という都会の心臓の中へまきこまれると、あんなこと、なんでもあらへんネ。理窟はあらしまへんワ。大阪モンはみんなあれぐらいのコンタン持っているようであるよ。
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大阪はエゲツなく、エズクロシイが、同時にそれに対して軽率な反動を常備する本能があるのかも知れん。ストリップ・ショウが軍艦マーチではじまるのも、多少はそのへんの作用によるのかも知れんが、自分は放蕩しながら子供に仁義礼智信を説くようなオモムキがあるなア。ここの警察、曾根崎署というのは大きなネオンサインをつけていたね。もっとも節電で消えていたが、ついたら、壮大なもんだろう。
大阪では電車の起点だか終点だかを「ターミナル」と言います。正しい英語の由。もっとも大阪の「ターミナル」は、その起点終点駅周辺のマーケット地帯、新発生の盛り場をさしてターミナルと云うのである。このターミナルは、どこもかしこも汚らしくエズク
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