フシギな女
坂口安吾

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)米《メートル》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二千|米《メートル》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)断定的[#「断定的」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)メチャ/\
−−

 文字と画はこうも違うものかね。ヤブニラミ、オカメ、無愛想、唇厚く、ニキビ面などと目撃者の表現が散々だから(築地の中華料亭四人殺害事件の犯人)この事件を漫画にとり入れた人々も大そうな不美人をかいていましたね。
 ところが、モンタージュ写真を見ると、凄味のある不美人ではなくて、農村でタクサン見かけることができそうな、あたり前の顔だ。女中の顔の型としては代表的な一ツかも知れん。疑られて迷惑する娘さんが方々に現れそうだ。しかし帝銀の場合とちがって、目撃者が多いし、相対していた時間も長いから、この写真は当人によく似ているのだろう。太田成子嬢はそう長く地下にもぐっていられないに相違ない。
 ラーメンをたべたお客さんの印象、スシ屋さんの印象、
次へ
全37ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング