スポーツ・文学・政治
坂口安吾

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     スポーツ談議

 いま僕の書いている『スキヤキから一つの歴史がはじまる』は、はじめにスポーツマンが主人公になっているせいか、スポーツ精神といったものを書いているせいか、とにかくスポーツマンに評判がいゝ。ボクをスポーツ精神の真髄に徹した大スポーツマンだと思っているらしい。ところが、あれは大体、スポーツをやった男の心理はこんなものだろうと想像で描いているだけで、ボクはそれほど実際のスポーツマンじゃない。またモデルだって一人も実際のはいはしない。スポーツでボクがやったのはジャンプ――三段跳び、走高跳び――水泳、それから柔道、これは割に強くて段つきになったが、立業では敗けたことがない。たゞどうも寝業は苦手で弱かった。
 日本野球のさる選手がボクを大選手、大先輩とあがめているという話だが、野球はそんなにうま
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