タマを打ってるような気がしない。それでも二百二三十が二度でたが、パターは五ツ七ツころがす有様であった。たいがいのアプローチに七番を使うとなんとなく間に合う。こういうのは良くないのだろう。プロに直してもらいたいと思ったが、この日プロは欠勤であった。予定の一時半に帰宅。
安岡君の一行すでに来着。はからざる次第。早朝に文春記者に叩き起された由である。この一週間ほど前に河出書房のF君が来て、自分は安岡君の悪友で「悪い仲間」その他のモデルだと名乗り、安岡君について一席弁じていった。むやみに人に絶交したがる男だと云っていた。しかし、安岡君の方がだいぶおとなしい感じ。外面如ボサツというのかも知れん。絶交するのはもっぱらF君の方ですとは安岡君の説であった。ボクの青年時代にも今は死んだけれどもF君のような悪い仲間がいて絶交したりされたりしたのを思いだした。奴は臨終の瞬間においてすら「幽霊になってでてやる」と云ってボクをおどかしたのである。しかし奴のユーレイはでなかった。
十七日
菊水よりパイプの原木送ったという通知あり。ブライヤーの原木だ。手製のパイプをつくることにしたのである。自分の手製を示し
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