うに思われる。私は、本来、清貧というものは好きではない。徹頭徹尾、貧に対する敵対工作をもって、人生の主流と信じているものである。シベリヤの寒冷地にも、花さかしめ、ミノリ豊かならしめることを念願としたい主義なのだ。
私は、老練なる文化人たる人々に、新世界人デーヴィス青年ほどの着想がないのが不思議なのである。つまり、不勉強であり、今まで、てんでラチもないムダな文化研究にいそしんでいたのだろうと疑わずにいられないのである。
センチメンタリズムは、よそうじゃないか。純情好きというものは、とてつもなく人間の世界を歪めてしまうものである。そして、常に、現実的であり、実質的なものになろうじゃないか。
自由万歳。私が叫びたいのは、それだけだ。
底本:「坂口安吾全集 07」筑摩書房
1998(平成10)年8月20日初版第1刷発行
底本の親本:「文藝春秋 第二七巻第三号」
1949(昭和24)年3月1日発行
初出:「文藝春秋 第二七巻第三号」
1949(昭和24)年3月1日発行
入力:tatsuki
校正:oterudon
2007年7月15日作成
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