男であるから、新風に野心を凝らし、一流を志すようになれば、新生面はひらかれてくる筈である。
 彼らに一流の矜持があれば、浅草は又、面白いところで、彼らのドサ廻りの恋愛談などケタ外れの歴史を秘めている各々一流の曲者なのであるから、人生の幅に於て欠けるところはない。ただ足りないものは、落伍者の一流の誇りである。
 もっとも女の子がみんな一流になって、私にツキアッてくれなくなると大変だが、そんなものではなかろう。一流の矜持というものは、益々愛嬌よく、益々ニコニコ色ッポクつきあってくれる性質のものなのである。
 まことに、そうあれかし。これをバイブルに、アーメンと唱えるのである。



底本:「坂口安吾全集 06」筑摩書房
   1998(平成10)年7月20日初版第1刷発行
底本の親本:「ナイト 創刊号」ナイト
   1948(昭和23)年1月25日発行
初出:「ナイト 創刊号」ナイト
   1948(昭和23)年1月25日発行
入力:tatsuki
校正:小林繁雄
2007年2月22日作成
青空文庫作成ファイル:
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