さがましたので、つまり私は観音様の縁の下とか上野公園で浮浪児になつても、めつたなことで同僚のおくれをとらない程度に、男の子は風の子といふのかな、そんな風に考へれば、まア、私も立派な男の子になつたのだらう。私も、さう、考へておかう。これはもつぱら水風呂のせゐだ。今も尚、水風呂にもぐりこんでゐるのである。
尤も私は精神的にも、この戦争といふものから近代知性と戦争との交るところの結論は知り得ずに、四五百年前の野武士の心境に就て、もつぱら自得するところがあつたのである。
底本:「坂口安吾全集 05」筑摩書房
1998(平成10)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「文学季刊 第三輯」
1947(昭和22)年4月20日発行
初出:「文学季刊 第三輯」
1947(昭和22)年4月20日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:oterudon
2007年7月15日作成
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