わが戦争に対処せる工夫の数々
坂口安吾
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)本所《ほんじよ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)浅草|本所《ほんじよ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ビク/\
−−
私はこれより一人の男がこの戦争に対処した数々の秘策と工夫の人生に就てお話したい。戦争を見物したいといふ人間なら星の数ほどあるであらうが、兵隊になつて自分自身が戦争するといふことになると、これは誰でも尻ごみする。ところが日本には「兵隊になる」といふ言葉は常識上は存在せず「兵隊にとられる」と称する通り、こつちが厭だと云つても兵隊にさせられるから仕方がない。こればかりは秘策の施し様もないのである。三月十日の浅草|本所《ほんじよ》深川などのやられたやうなことが戦争の始めにあれば、しめた、といふので、死んだふりをしたり、無籍者になつ
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