あとがき〔『いづこへ』〕
坂口安吾

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 私の終戦後の作品のうち「外套と青空」「白痴」以後の今日までの短篇の大部分をまとめたものです。
 目次を三つに区切つたのは、最初のが私の自伝的意味をもつ作品、その次が私小説ならざる現代小説、最後が歴史小説です。
 私は雑誌の選り好みといふものを余りやらず、私の執筆能力の限度に応じて、頼まれる雑誌へ引受けた順番に書いて行き、能力の限度以上はことはる、だから大衆雑誌、婦人雑誌のやうなものを引受けた後で、純文学雑誌や綜合雑誌をことはらねばならぬ羽目になる場合が多く、終戦後の私の作品を発表した雑誌といふものは雑然たるもので、娯楽雑誌にまで小説を書きました。然し、書いた小説は娯楽雑誌だからどうといふのでなく、どの雑誌へのせてもよかつたのだ。私自身は、たゞ、書けばよいのだから。
 けれども読者は迷ふに相違なく、大衆雑誌に書いたものは大衆小説だと思つて読んでくれないけれども、変に間の悪いもので、私の方はたゞ順番に書いて発表して行つ
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