色もなく、交番に連行される途中手にしていた重いハンド・バッグを警官の両足の間に押し込んで、警官をつまずかせて、よろめく隙をねらい、脱兎の如く逃げ出そうとした。しかし、給仕男のタックルはそれより早く、とう/\ニンゲルをその場にねじ伏せてしまった。
その後“能筆ジム”は十五年の刑に服したが、その見事な芸術作品のためであろう、人々は彼に対して同情的な温い心を持ったということである。だが、差し入れをしたかどうかは知らない。
底本:「坂口安吾全集 11」筑摩書房
1998(平成10)年12月20日初版第1刷発行
底本の親本:「財政 第一六巻第三号」
1951(昭和26)年3月1日発行
初出:「財政 第一六巻第三号」
1951(昭和26)年3月1日発行
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2009年3月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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