マリユスに手を取られ、ふたりで彼の前にじっと立っていた。
刻々にジャン・ヴァルジャンは弱っていった。彼はしだいに沈んでいって、暗黒な地平に近づきつつあった。呼吸は間歇的《かんけつてき》になり、わずかな残喘《ざんぜん》にも途切らされた。もはや前腕の位置を変えるのも容易でなくなり、両足はまったく動かなくなり、そして手足のみじめさと身体の疲憊《ひはい》とが増すとともに、魂の荘厳さが現われてきて、額の上にひろがってきた。他界の光は既にその眸《ひとみ》の中に明らかに宿っていた。
彼の顔は蒼白《そうはく》になり、同時にまたほほえんでいた。もはやそこには生命の影はなくて、他のものがあった。呼吸は微弱になり、目は大きくなっていた。それは翼が感ぜらるる死骸《しがい》であった。
彼はそばに来るようにコゼットに合い図をし、次にマリユスに合い図をした。明らかに臨終の最後の瞬間だった。そして彼は、遠くから来るかと思われるような声で、ふたりと彼との間には既に壁ができてるかと思われるようなかすかな声で、ふたりに話しかけた。
「近くにおいで、ふたりとも近くにおいで。私はお前たちふたりを深く愛する。ああ、こうして
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