て、かえってあの人をりっぱな者にした。そして君こそ盗賊だ。君こそ人殺しだ。おいテナルディエ・ジョンドレット、君がオピタル大通りの破家《あばらや》にいた所を、僕は見て知っている。君を徒刑場へ送るだけの材料を、いやそれよりもっと以上の所へ送るだけの材料を、僕は握っている。さあ、悪者の君に、千フランだけ恵んでやる。」
 そして彼は一枚の千フラン紙幣をテナルディエへ投げつけた。
「おいジョンドレット・テナルディエ、卑劣きわまる悪漢、これは君にいい見せしめだ、秘密を売り歩き、内密なことを商売にし、暗闇《くらやみ》の中を漁《あさ》り回る、みじめな奴《やつ》! この五百フランもくれてやる。拾ったらここを出ていっちまえ! それもワーテルローのお陰だ。」
「ワーテルロー!」とテナルディエは五百フランを千フランと共にポケットにしまいながらつぶやいた。
「そうだ、人殺しめが! 君はそこで……大佐の命を救った。」
「将軍ので。」とテナルディエは頭を上げながら言った。
「大佐だ!」とマリユスは憤然として言った。「将軍なら一文もやりはしない。それから君は、また悪事をしにここへきた。君は既にある限りの罪悪を犯してい
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